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流れること / 留めること - サル・イヌ

流れること / 留めること - サル・イヌ

通常価格 ¥140,000 (154,000税込)
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set of 2 works, paint on wire
h: 30, w: 21, d: 11 cm (left) / h: 29, w: 28, d: 5 cm (right)
2021

 

※ 納品まで約1週間程お時間を頂戴いたします。

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今村源は針金を巧みに扱い、様々な動植物や自身を象った彫刻を制作しています。
この作品は2021年に開催されたギャラリーノマルでの個展の際にアーティスト・ステートメントに関連づけて制作された針金彫刻作品です。

ー 以下はそのコメント

流れることと留めること

 小学校の頃犬を飼っていてよく散歩に出かけた。子供の力では散々引っぱられ走り回って帰ってくる。その後共に喉がカラカラになって水をあげていたのだが、その時の様が思い出される。犬はボールに満たした水に舌を入れ、巻き込むように必死に動かしながら飲む。半分以上舌から流れ落としながら、わずかに絡め取られた水を何度も何度も動かし口の中に流し込んでいた。なんとも効率の悪いもどかしいことだ。こちらはコップで一気にぐびぐびである。思えば人が初めて両手合わせてその窪みに水を貯めて飲めるようになったのはいつ頃なのだろうか。人とは呼べない頃まで遡るのかもしれない。口から直接吸い込むこともできたのだろうが、流れる水を一旦手のひらに留め置き、一気に飲み干すことはさぞ快感であったろう。さらに器を作ってあの流れる水を汲み留めることは尚のこと衝撃的な出来事であったに違いない。流れるものを留め置くことへの欲望はこんなことから始まって膨らんでいったのかもしれない。食や住などなど、留め置くことが人が人として成立することとパラレルに進みながらますます肥大化の一途を辿っているようだ。
 こと彫刻に目を向けるとやはり流れるものの形象を追い、それを留め置くことに必死になって立ち向かっているともいえる。手のひらに一瞬溜め込まれたように見える水のごとくその一瞬の快感を求めて終わらない鋭意がつづく。でもそろそろ流れる方向へと、それこそ流れていっても良さそうであるのだが、この留め置くことはなかなか手強い。

今村 源


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